[シリーズeスポーツ②]パズドラの大会で賞金を受け取れなかった中学生の問題から見える日本のeスポーツ成長を阻む3つの法律の話

akira(おじさん)
先週から話題になっているこの件。実は日本では”そうせざるを得ない状況”というのが法律によって構成されているという話です。

先週から、eスポーツについて仕事で調べていて、そのついでに記事を書いていたのですが、

↓先週の記事↓

[シリーズ:eスポーツ①]そもそもeスポーツとは?今、日本国内でどれくらいの規模?大会の数は?経済産業省が後押ししてるのは?~

このように、これからの成長産業であるeスポーツなんですが、課題というのがいろいろありまして、今回の中学生選手ゆわさんが賞金を受け取れなかったのも、その課題、3つの法律が関わっています。

 


■eスポーツの成長を阻む3つの法律の話

3つの法律というのは、以下の3法。

  1. 刑法185条
  2. 風俗営業法
  3. 不当景品類及び不当表示防止法

 

1:刑法185条

高額賞金を捻出するために大会出場者から出場料を徴収した金額を賞金として大会勝者に分配するケースが考えられますが、これは賭博罪(刑法 185 条)に抵触する可能性があります。

賭博と定義されるものは(1)偶然の勝敗により、(2)財物・財産上の利益の(3)得喪を争うことです。

(1)についてはチェスや囲碁といった完全情報ゲームでも該当するため、一般的な e スポーツタイトルは全て「偶然による勝敗が決まる遊戯」に該当するとされています。

(2)については、ゲーム内通貨並びにゲーム内アイテムを賞金とするといった手段が考えられるが、今日のゲームにおいてはゲーム内通貨やアイテムを取引きするオンライン市場が存在するケースもあり、これらのデータが現実の通貨に換算されてしまう場合には物・財産に該当してしまう。

(3)については、最終的に勝者に分配される賞金の出どころが出場者から徴収された出場料ではない限り、これに該当しない。例えば、出場者から出場料を徴収するものの、その金額は大会の運営費用や出場者が大会でゲームをプレイするというサービスに充当する場合は、賭博に該当しない。賭博罪に抵触しないためには、賞金を出場料以外(例えばパブリッシャーの予算、スポンサーからの出資金)から捻出する必要がある。

akira(おじさん)
要は、賞金はスポンサーから貰えばOK。出場料は”ゲーム参加のための実費負担”であるとすればOKということ。なんだけど、出場料とると次の法律にひっかかります。

 

2:風俗営業法

風俗営業法の第 23 条第 4 項には「第二条第一項第七号のまあじやん屋又は同項第八号の営業を営む者は、前条の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」との規定があり、ゲームセンターなどは第五号の営業にあたるため、賞金を出して大会を開催した場合には風俗営業法の適用対象となる。

飲食店や他業種が大会への出場料並びに観戦料を徴収した場合にも風俗営業とみなされ、風俗営業法の適用対象となる。

また、興行主が常設ではない場所(野外の仮設など)で大会を開催するという手段もあるが、大会が 2 日以上にわたった場合はその場所が常設とみなされる可能性がある。

akira(おじさん)
出場料とると今度は風営法に引っかかる。けれどこれは1日だけの野外イベント(とか施設を借りてイベント)ならOKということ。

 

3:不当景品類及び不当表示防止法

e スポーツ大会を開催する際に賞金を提供することにより、ゲームのパブリッシャー・デベロッパー(並びに利益を享受する関連企業)が顧客を誘引するための手段として自己の供給する商品・サービスの取引に付随してこれを提供しているとみなされ、当該法律に抵触する可能性がある。

この場合、取引価額が 5,000 円未満の場合は取引価額の 20 倍まで、取引価額が 5,000 円以上の場合は 10 万円までの金額が上限となり、海外大会のように億を超える賞金を提示した大会を日本国内で開催することはできない。

賞金が景品とみなされない、つまり「景品が顧客誘引の手段となっていない」とみなされる場合は不当景品類及び不当表示防止法に抵触しないが、これは e スポーツタイトルを含む大部分の家庭用ゲームが購入またはプレイするために金銭を請求する(商取引に該当する)ため、抵触する可能性が高く。スマートフォンゲームなどの基本無料でプレイ可能なものがあり、課金要素はあるものの、その課金については“プレイ時間を圧縮する(例えばレベルを上げる、いずれ手に入るアイテムを事前に取得する)”といった金銭のやりとりがゲームの巧拙に影響しないとみなされ、不当景品類及び不当表示防止法に抵触しないという見解もある。

 

akira(おじさん)
この3つの法律が、今回のゆわ選手が賞金を受け取れなかった要因だと思われます。かなり見解が難しく、専門家によって意見がわかれるところですが、総務省が発表している資料に参考となるものがあったので引用しておきます↓

 

消費者庁は 2016 年 9 月の回答書の中で、パブリッシャー・デベロッパーが大会への高額賞金を拠出することに対して不当景品類及び不当表示防止法の「顧客誘引の手段」にあたるが、基本無料且つ、ゲームへの課金状況が競争の優劣に影響を与えない場合にはその限りではないとの回答を行っている。

東京大学白石忠志教授は、高度な技術を有した有名選手による大会に関するものか、そういった技術を有しない一般ユーザーによる大会に関するものかが明確ではなく、大会全般に拡大解釈できるだけの見解は有していない旨を論じている。加えて、高度な技術を有した有名選手による大会の場合は、「観戦する一般ユーザーという顧客に対して広告を行い誘引することが目的なのであって、賞金が提供される相手方であるプレイヤーも形式的にはビデオゲームを購入した顧客であるとしても、そのような「顧客を誘引するための手段として」賞金を提供しているわけではない、と説明するのが、最も据わりが良いように思われる」と、見解を述べている。

日本 e スポーツ連合が新たに開始したプロライセンス制度において、ライセンスを取得したプロ選手は、選手としての研鑽のためにゲームに係る支出を行うため、不当景品類及び不当表示防止法が対象とする一般消費者に当たらず、プロ選手のみが参加する大会においては現行法の範囲内で、賞金を設定することができるとの説明を行っている 。

akira(おじさん)
要するに、賞金を提示することで一般ユーザーにゲームを買わせようとする行為は抵触するけど、高度な技術を持っているとみなした人にとっては報酬扱いだからいいよという見解。逆にいうと、そのためにプロライセンス制度というのはあるということですね。

ー<補足>ー

今回のゆわ選手は日本eスポーツ連合(jesu)の定めるところのジュニアプロライセンスにあたり、プロライセンスは満16歳以上の者に発行されるもので、義務教育課程を修了していない13歳以上15歳以下の者のために存在するのがジュニアライセンスとなっている。

今回、問題となっている規定は、

「予め賞金を受領する権利を放棄する」
「相当と認める範囲のものに限り、商品を受領することできるものとする」

の2箇所であり、今回の500万円は「相当の範囲」から逸脱しているものと判断されたということ。

これも、上記の3つめ、不当景品類及び不当表示防止法の示すところの、15歳以下は一般消費者としてみなされるからというのは法的根拠だそうです。

 

■急がれる法整備

akira(おじさん)
海外でも同様の規制がありますが、すでに法律改正や新法制定などでeスポーツのための環境が整備されている国もあります。
韓国 ゲーム産業促進法を制定。法律内では賞金やプロ制度だけでなく、ゲーム内のチート行為に対する厳罰なども記載
中国 eスポーツ関連の専門職の職業区分を新たに設けて、公認し報酬などを保証。
フランス eスポーツ選手契約に関する基準を新法で制定

 

以上のように、海外ではeスポーツが成長できる環境がすでに整っています。

多くの有名ゲームタイトル発祥の地である日本が、このように法整備の面で遅れをとっている事は、成長に大きな妨げとなっています。

 

ですが、上記の総務省の資料などが作成されている点や、最新のこちらの経産省の発表↓

経済産業省は、eスポーツの健全かつ多面的な発展に向けて、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)とともに、周辺市場・産業への経済効果を含めた国内のeスポーツの市場規模の試算、諸外国のeスポーツの発展経緯等に関する調査分析、eスポーツの社会的意義に係る現状・課題・今後の展望等の整理・検討に取り組みます。

<2019年8月30日>

 

これらの発表から、国も力をいれてeスポーツを重要成長産業と捉えているのは明々白々ですので、多様な面での環境整備はこれから整っていくものと思われます。

 

このシリーズの記事はまだもう少し続きます。

次回はすでに地方都市などで活性化や観光戦略にeスポーツを取り入れている事例の紹介をします(´・ω・`)ノ

 

 

 

 

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